workawayはじめました③

のんきに考えていた一週間前の自分があまかった。

 ○高校生襲来

stage/インターンシップでやってきた女子高生1と女子高生2。ホストのお母さんは「いい子達なんだけどティーンエイジャーだからねえ」と身構えていたけど、その配慮は杞憂に終わった。悪い方に。

 

 ○くさい

彼女らは着くなり挨拶も早々にタバコを取り出し行ってくるねー!と去ってしまった。我が物顔でデッキチェアで一服かます彼女たちに唖然とした。

何を今更感もあるけれど、やはり高校生に堂々とタバコ吸われるとちょっとドキドキしちゃう。ちなみにフランスだと18歳以下がタバコを購入することが禁止で、つまり吸うこと自体は問題ないんだとか。高校にも喫煙所あるってどういうことなんだ。

まあその甲斐あってか口臭が最悪だった。

 

○はやい

フランス語しばらくやってて、小2レベルのことは聞き取れるようになったと自負していた。が、その自信は彼女たちによって打ち砕かれた。しばらく集中して会話に耳を澄ませても一文字も理解できない。いやこれがナチュラルスピードなんだ。みんな気使ってくれてたんだあああ。と絶望の淵に立たされたわたしの横で、フランス人のホストが一言

「何言ってんのか全然わかんない」

あんたもか。

 

 

○つよい

多分女子高生っていうのはどこの世界でも割とつよいんじゃないかな。

他人のお家にご厄介になっててしかもどこかの外国人が一緒に働くとなったら、そこそこ遠慮とか緊張とかするもんだとばかり思ってた。

人が疲れ果てて寝ている最中、ふたりはベッドの上でキャッキャとお菓子パーティをはじめた。わたしの頭上は放課後マックか。現在午後9時。半分寝かかってる時間にこれは堪える。

それでもね。まあ初日はしょうがないよ修学旅行みたいなもんでしょはしゃぐよねーうふふ。夜中にベッドで彼氏と電話してんのもまあ許そう一日ぐらいは。こっちは休みだけど子供と遊び疲れてんだよねーきみら今日なんもしてないしね!エナジー余ってるよね。

 

そんな風に思えていたのも今日限りのことでした。ちなみに日曜日。

 

地獄のはじまり

月曜早朝

いつもの通り6時作業開始10時作業終了し、さて朝ごはんたべて羊でも追っかけて寝ようかしらとデッキチェアに向かうと、すでに占領されていた。彼女らは今日8時から仕事開始だったはずだ。「暑いから休憩してるのー」

へえそう。その暑い中作業を続けるルーミーをみながらわたしは朝ごはんのパンにジャムを塗ったくった。

羊で遊ぶのも飽きたのでルーミーにことの次第を聞きに行くと、相当ご立腹の様子で「あいつら勝手にいなくなるんだけど」休憩時間なんかに特に決まりはないので別にそれでも構わんのだけど、3人で作業してて黙って一人置いて行くのは如何なものだろうか。

この件の後、堰を切ったように不満と問題がどぅるどぅるしてきた。

 

○イヤフォン問題

彼女たちは、食事とシャワー時以外ほぼ常時マイク付きイヤホンをつけている。傍目から見ると両耳塞がってる系女子だ。そして、誰を見るでもなく話し始める。互いに話している時も時折全くあわない相槌を打つ。最初は頭の中にもう一日の自分が住み着いてるのかと思った。でも、どうやら常時誰かと電話をしているようだ。言ってることはわからないけど、トーンから察するに本当にどうでもいい話だ。どうでもいい話を並行してできるとはなんで頭のいい子なんだろう。

全然関係ないけど、パリについて一番ビビったのは独り言いいながら歩く人。よく見たらイヤフォンのマイクで電話をしてただけだったのだけれど、電車の中でもそんな感じだったから驚いた。大人っぽいのかなぁ。

 

○仕事できない問題

女子高生2に「あいつのやってる仕事楽そうでいいなー」といわれて「じゃあお前朝5時に起きて機材延々押し続けてみろよ」と真顔で答えました。もちろん訳せないのでそういう妄想をしました。

それはさておき同じ仕事になった金曜、カレンデュラ畑の雑草取りと種の採取。なかなか終わらないこちらを尻目に若い女子高生は早々に切り上げる「おわったから帰るねー」まじかよと確認すると全然おわってなかった。クソほどもおわってなかった。

我々はこれを完成品とは認めない。って初めて言った。作業を続けるルーミーと私をみながらまた誰かと電話を続ける女子高生。すごい。

地面もよくみたら、草刈りの度合いが違いすぎてまだらになってた。よく一週間作業できたなルーミーよ。

 

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カレンデュラはこんな風にして使う。

 

○やっぱりうるさい問題

こんな感じで日々肉体労働と早起きに勤しんでるせいで、夜はさっさと寝たい。しかし初日だけだと思っていた電話は連日続いていた。「電話をやめてください。電話をしたいのなら食堂に行ってください。」を仏作文しているところをホストにわざと見つかり事態が発覚。続けるようならホストからの忠告になるそうだ。それはやだなぁ。

 

 

○そして土日へ

金曜夜、彼女たちはどっちかの家に遊びに行くためここを離れるらしい。迎えにきた母親と彼女たちを笑顔で見送ったあとガッツポーズをキメるホストママ。今日はお祝いよと言わんばかりに肉を焼くママ。ワインをガンガンあけるママ。どんだけ苛立ってたんだ。

ここ一週間の悪行三昧はやはり目に余るらしく、日曜に保護者面談が行われるらしい。

すこぶる平和に土曜日を過ごし、日曜夜、彼女たちは帰ってきた。ホストの子供を厩舎に避難させ事の成り行きを見守る我々。外に出れない苛立ちから靴紐をかじる羊、反抗期を迎えるロバ、乗れない自転車を押せとせがむ子供。

緊張の一瞬だ

ちょっとそこ座りなさいとばかりに、テラスで話し合うホストと母親。

遠目から見ても、その横に座る女子高生たちは明らかにしょぼくれていた。

とおもってたら以外にもブーたれてた。

一通り話も終わり、おもむろに電話を取り出すホスト。おそらくもう一方のご家庭にお電話しているのだろう。

 

結果的に、その電話先のお宅とはお話がこじれたらしく片方が帰ることになった。

残った一人はちょっと残念そうだったけれど、まあしかたないかな。

 

○そして下山へ

 そしてなんだかんだあったあと無事に3週間終え、下山してまいりました。

いろいろあったのだけれど、またもう一度帰ってこようと思えるほど楽しく過ごすことができました。

留学といっても、自分が住んでいる町以外に愛着を持つにはいろいろ障壁がある。言葉とか時間とか。でもこうやって同じ釜の飯を食べ、生活を共有することで、ここまで愛着が湧くものなのですね。

 

それと、久しく忘れていた自然の贅沢さみたいなものを思い出したんで、それも書いておきます。

 

下山して観光したボルドーのごはんは美味しかっけだけど、やっぱりみんなで食べたほうがいいな。なんて思ったり。

でもワインは流石に美味しいな。なんて思ったり。